5/31  そしてまた家族計画を



5/31  そしてまた家族計画を



なんとなく、本当になんとなくyoutubeで家族計画の動画が見たくなった。
いくつかの動画を経由してこの動画にたどり着いた。

動画が終わるまでの30分間、自分はあの世界に没頭し幾度となく涙腺が緩んだ。
文章を追っていくうちに家族計画の世界のことを思い出し、大好きだった茉莉のことを思い出した。

思い出して、どうしようもないくらいたまらない気持ちが再燃し、そして絶望した。

自分の生きる世界には茉莉はいない。

茉莉のような人も居ない。
あるいは世界のどこかにはいるかも知れないが、自分は出会えなかった。

自分には生来の家族しかいない。
それはそれで居てくれるだけとてもありがたいことなんだけども、年老いた両親は遠くないうちに居なくなる。
妹には妹の人生がある。自分の寂しさのために付き合わせるわけにはいかない。

自分が死ぬときはきっと一人きりだろう。
死ぬ前だってきっと一人きりだ。
司のように忙しい老後は送れない。
小さな部屋でやることもなくぼうっとしている毎日を送っているかもしれない。

……考えるだけで気が狂いそうだ。



――そうだ。
だから自分はいつの間にか感情を凍りつかせていたんだ。
やがてくる終わりのときを絶望だけの終わりにしないために。

絶望からさえも目を逸らして、最後の最後まで苦しまないように逃げ続けて。
たとえ本当は絶望しかないとしても、目を逸らして心を愚鈍にすれば少しはマシな終わりになると信じて。

自分のこの考えは死ぬまで変わらないと思う。
でも、
たまにはこうやって遠く暖かく優しい世界を思って涙するのも悪くないと思う。